
[Verse 1]
息をひそめて 石の廊下
まだ空も 色を持たない刻
灯りのない 長い影だけ
私の行き先 知っている
擦れた靴音 冷たい壁
胸の鼓動が 一歩先を急ぐ
誰も知らない 名さえないまま
今日も同じ扉へ向かう
[Pre-Chorus]
震える指で 鍵をなぞる
逃げ道なんて 最初からない
心に巻いた 白い布の誓い
ほどけはしない ほどけはしない
[Chorus]
私は 見えない盾
刃も呪文も 持たないままで
ただこの身を 差し出すことで
王を 明日へ渡す
光を浴びることはない
呼ばれることもない名前
影の守護者として
ここに立ち尽くすだけ
[Verse 2]
かまどの火種 そっと起こす
赤く揺れる 小さな戦場
ひとつ火がつき また日が始まる
笑顔の裏で 刃を吸い込む
銀の食器が 歌う食堂
遠くで鳴る 勝利の報せ
そこに映らぬ 背中の汗を
誰も知らずに 夜は更ける
[Pre-Chorus]
ため息ひとつ 湯気に紛れ
弱さを燃やし 灰にしてゆく
胸の奥には 白い布の誓い
明日を縫いとめている
[Chorus]
私は 見えない盾
鎖も鎧も まとうことなく
ただ一瞬 身を投げ出して
王の明日を 繋ぐ
栄誉の席に座れずとも
物語には 名を刻まれずとも
影の守護者として
息を殺している
[Bridge]
剣を掲げる 勇者を見た
まぶしさに 目を細めただけ
羨むよりも 願ったのは
どうかこの身が 先に砕けること
祈りはいつも ひとつだけ
「何も起きない日々であれ」と
誰も気づかぬ 静かな勝利を
今日もひっそり 積み上げる
[Chorus]
私は 見えない盾
倒れた時も 誰も知れずに
染みこんでゆく 床の冷たさ
それさえ職務のうち
讃える声は 届かない
残るのは 使い古しの靴だけ
影の守護者として
孤独を抱きしめる
[Chorus]
それでも 見えない盾
選んだ道を 悔やしはしない
この胸だけは 高く掲げて
王の安眠を守る
朝焼け前に消えてゆく
長い影が 静かに笑う
「ここで十分だ」と
心に言い聞かせる
[Outro]
[Voices fade
Instruments drop]
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